2013年4月14日日曜日

4: クッキーのはなし<中編> : The story about cookie


つづき・



東京に戻ったらおかしなことがもっとたくさん起こった。
まずなんとクッキーはもうすでに東京に住居を構えており、ルームシェアなんかしていたのだった、
ただいまーと帰ったクッキーを迎えたのは2人のクッキーより年上の男の人で、
そのふたりにクッキーはわたしを、ぼくの彼女です。と紹介した、
このふたりも元犬なのかな、、と思ったけどそういうわけではなさそうで、
ふたりとクッキーの会話からどうやらクッキーがわたしよりも10歳くらい年下らしいこと、
最近引っ越したばかりらしいこと、あ、クッキー宛に区から手紙が来ていたよ、なんて情報を得た。
みんなふつうにクッキーのことをクッキーと呼ぶ。




区からの手紙を受けとったクッキーはそれをちゃんとカッターを使って丁寧にあけ、
中身をじっくりよんだ


、、、、希望の場所じゃないけど、悪くない場所がもらえそう、、


なんのこと?


今ね、区が持っている土地を、区民に安く販売するっていうのをやっていて、ぼくもそれに応募して、書類選考に残ったからどうやら土地が手に入りそうなんだ




いつから区民になったのか謎な上に、
どうやらクッキーは安くとも土地を買えるだけのお金を持っているらしい。
その土地もらってどするの?とたずねると、クッキーはまっすぐこちら見て次のように答えた。






僕は自分の意志でここまでやって来た。だからこの場所に、ちゃんと根をはりたいと思うんだ。
とりあえず土地が手に入ったら、ぼくはそこにでっかい穴を掘る。なぜ穴を掘るかというのは、それは犬の古くからの習性なのでぼくにもわからない。
とにかくでっかい穴を掘って、そこに大切なもの、大事にしまっておいて誰にもわたしたくないものをいれて埋めておこうと思う。
それからじいがやっていたみたいに、野菜を作って食べようと思う。やり方を習ったことはないけど、毎朝じいの散歩に付き合って畑仕事を見てたから大丈夫。
お母さんがよく言ってたんだけど、この世界にはいつもなんでもあるように見えるけど、あるとき突然、なんにもなくなったりもする。
だからそんなときあわてないために、自分で作れるものはなんでもつくってみたほうがいいって言われた。


だから僕は何でも自分でつくれるようになりたいんだ。

だからまずは、
穴をほって畑をつくるだけだけど、そのうち
住むところも、
着るものも、
どこかに行くための乗り物も、全部
自分でつくれるようになろうと思うんだ。








クッキーが区から受けとった手紙を見せてもらったら、
そこには 

九鬼 様
 
と書いてあって、
あ、なるほど、
くき、だからみんながクッキーて呼ぶのかと

わたしは納得したのでした・


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